焼酎の古酒といえば泡盛の古酒(クース)がまず思い浮かびます。沖縄の泡盛は、もともと大衆の酒として生まれた本土の焼酎と異なり、琉球王家の厳重な管理のもとに開発されてきた特異な歴史を持ちます。1400年代になって、貿易立国をかかげた琉球王国は1470年頃には米の蒸留酒を輸出できるまでに育て上げたと言われています。
タイ国との交流の始まりは1404年のことですから、その当初からシャム南蛮と呼ばれるカメに貯蔵しているうちに、自然と熟成の効果が分かってきたのかも知れません。
泡盛の伝統的な古酒の造り方は南蛮がめや沖縄がめといった素焼きのカメに泡盛の原酒を入れ、沖縄の県花である梯梧(デイゴ)の幹でつくった蓋を糸芭蕉やバナナの葉でくるみ、これでカメを密封し、地中に埋めて熟成がすすみ、あるいは蒸発した酒が葉の成分を抽出したりして泡盛特有の古酒の香りと味を生み出していきます。熟成用のカメには、泡盛の成分やカメから溶け出したものがオリとなって付着しますが、これも熟成に大きな役割を果たすので絶対に洗い落とさずに代々使用し続けます。
こうして造り上げられた貴重な古酒は祝い事などの際に少量づつ振舞われることになりますが、その際減少した分は次に古いカメから補充し、決して新しい泡盛を入れないようにします。つまり、もっとも古い泡盛(親酒)から、一定の期間ごとに2番手から5番手くらいまでの泡盛を準備しておき、親酒の減った分だけ次の古酒から順に補充していくのです。最後の5番手だけが新種から補充されることになります。
この方法により時に百年を超す超古酒が製造でき、またその味わいをいつまでも保ち続けることができるのです。これは仕次ぎ法と呼ばれる泡盛独特の熟成法です。
構成競争規約に基づき古酒と表示できるのは3年貯蔵以上のものとされていますが、3年、10年、20年、30年と古くなるにつれ、その香味はアルコールの刺激が薄れ、まろやかさとコクを増し、黄金色に着色していきます。15年も貯蔵すればそのアルコール度は実際の半分程にしか感じられなくなるといわれます。
この古酒の文化は独特の歴史と文化をもつ沖縄であってはじめて育ちえたものと思われますが、先の沖縄戦で多くの貴重な古酒が失われてしまったことは何とも残念なことです。泡盛古酒の復活は泡盛ファンだけではなく焼酎を愛する人だちすべてが待ち望むことでしょう。
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