お湯割りが清酒と同じようなアルコール度と温度を作り出すためであれば、商品の度数を15度にしてお燗をすれば良さそうなものです。なぜ焼酎は25度や20度にこだわるのでしょうか。また、焼酎をお湯割りにすると、旨味や甘味が増して喉ごしや口当たりが良くなるのはどうしてなのでしょう。さらに、好みの濃さにして自在に味を楽しめるのはなぜでしょう。
蒸留酒はほとんどが水とエチルアルコールからなります。ところが実際はウィスキーと焼酎では明確な違いがあり、同じ焼酎でもイモ焼酎と麦焼酎とでははっきりと違いがあります。このような違いはいうまでもなく、原料や製法に由来するごくわずかの微量成分によるものです。このわずかの成分たちが、ウィスキーらしさ、焼酎らしさ、そしてお湯割りにおいしさなどを造っているのです。
たとえば、焼酎の味に関係する成分としてパルミチン酸エチルやリノール酸エチルといった微量成分があります。これは、米や麦、サツマイモなどの原料中に含まれる成分が醗酵や蒸留の工程でアルコールと結合して焼酎の中に含まれるようになった天然の旨味成分ですが、アルコール度が高いほど、また温度が高いほどよく溶解する性質を持っています。できたての新酒ほど多く含まれていますが、貯蔵中に温度が低下したり、加水によってアルコール度が下がったりすると溶解しきれない余剰分が分離されて、焼酎中の濃度は減少してきます。
それでも25度の焼酎には15度の焼酎よりずっと多くの濃度で含まれています。25度の焼酎を15度に薄めれば溶けきれない余剰分が分離されてくることになりますが、これを暖めることにより溶解させることができます。つまり、お湯割りというのはアルコールの立場からすると薄める行為ですが、旨味成分の立場からすると薄めて溶けきれなくなった成分を暖めて溶かし込む操作ということになります。
25度という度数は旨味成分を多く含み、お湯と焼酎をほぼ半々に加えることにより、アルコール度も温度も手ごろなお湯割りを簡便に作ることができる理にかなった度数ということができます。
もっとこだわりたい人には、あまり熟成させずにアルコール度の高いものを買い求めて、ぬるめのお湯をたっぷり加えて温度とアルコールを手ごろにして飲むことをお薦めします。ただし、旨味成分を多く含む焼酎は、時にオリが出ることがありますが、異常ではありません。
この他にも、お湯割りは酸味を甘味に変えるなど面白い側面を持っています。お湯割りに合う焼酎を探し、変化を楽しむのも焼酎の楽しみのひとつです。
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